大菩薩峠 緑のシャワーに感激の巻
山を始めて間もない頃、奥多摩や丹沢の次のステップとして位置づけられていたエリアとして大菩薩連嶺がありました。
山脈でも連峰でもない「連嶺」という響きがなぜかあこがれだったな。
ですから、高校生の頃は「大菩薩に行く」といったらちょっと鼻高ものでした。
大菩薩連嶺の良いところは、実力に応じて様々なコースを選べることです。
ファミリー向きのコースから東面の沢登りルートに代表される上級者向きコースまで実に多彩なコース設定ができます。
若い頃は沢登りも含めて四季にわたって歩いていたのですが、クライミングに目覚めてからはとんとご無沙汰の山になってしまいました。
そうなんです。この山域にはクライミングができるところが無いのです。
そんな大菩薩峠に何十年ぶりかで訪れました。
選んだコースは、上日川峠をスタート・ゴールに反時計回りに峠から大菩薩嶺を経て唐松尾根を下る初心者向きのコースです。
地図上で見るとトライアングルのような形をしています。
スタート地点の上日川峠までは甲斐大和駅からマイクロバスがハイカーを運んでくれています。(\1,000)
私の若い頃は、新宿駅を23時55分発の松本行き普通電車に乗って、午前3時頃塩山駅着。駅から裂石までバスに揺られて、寝不足の目をこすりながらヘッドランプの明かりを頼りに登ったものです。
マイクロバスは朝の8時台と9時台に出ているので、昔みたいに夜討ち朝駆けみたいなことをしないでも日帰りで十分に楽しめるようになったのは朗報ですね。
さて、久しぶりに訪れた上日川峠は車、車、車、、、
いやー、ひどいもんです。
これじゃ、せっかくの山の静けさが台無しだなあ。
というわけで、身支度を済ませて速やかに歩き始めました。
最初の目標は福ちゃん荘です。
この小屋までは感じのよい山道を辿りましたが、地図をよく見ると車道も通じています。
そういえば、つかず離れずの間隔で車道が見え隠れしています。
だったら、勾配の一定な車道を歩いたほうが歩きやすいので途中から車道を行くことにしました。
たいした距離でもないのでどちらを選んでも正解です。
そして着いた福ちゃん荘。
ここも様変わりしていました。
私たちの世代で「福ちゃん荘」といえば、赤軍派の武闘訓練の合宿所という答えがすぐに出てくるほど有名な場所であり事件でした。
私も山歩きが楽しくて仕方がなかった高校時代で、しかも舞台が大菩薩峠ということでずいぶん興奮しましたよ。
ところが、玄関の看板を見てちょっとびっくり。
え、皇太子夫妻のご休憩所だって・・
へー、昭和と平成では大きく変わったんだなあと妙に感心してしまいました。
さて、福ちゃん荘からは本格的な山歩きのはじまりです。
ここでコースは二手に分かれます。
急な唐松尾根は下りに使うことにして、まずは大菩薩峠に向かいました。
なぜそうしたかというと、今回は出発時間が遅かったので展望の利くうちに稜線に立ちたかったからです。出発が早ければ無論唐松尾根を登りに使うところです。
峠まではみずみずしい新緑の中を歩きます。
まるで緑のシャワーが降り注いでいるようで心が洗われます。
梅雨の晴れ間を利用して、思い切って山を訪れてみて本当によかったです。
ゆるい勾配の登山道をゆっくり目のペースで歩きました。
できるだけ長い時間を山の中で過ごしていたいので・・
やがて笹原の稜線が近づいてくると峠に建つ介山荘が見えてきました。
この山小屋も久しぶりですが、着いてびっくり!両側から登山道を囲むように小屋が建っていて大した繁盛ぶりです。
最近の山ブームの恩恵をもろに受けているみたい。
山小屋の先に大菩薩峠はありました。
昔と変わらない標識に安堵しましたが、いやーハイカーの数の多いこと多いこと!
特に若い女性の姿が目立ちます。ついでに若い男どもも結構まじっていて、山の世界の平均年齢は確実に下がっていますね。
山ガールのおかげで周りが華やいでみえるのはとっても良いことです。
同時に自分のダサイ格好が急に恥ずかしくなってきたけど。
さあ、いよいよここから雷岩までの稜線歩きの始まりです。
大菩薩峠の最大の魅力は、広大な笹原とうっそうとした針葉樹林帯のコントラスト。そして広闊な展望でしょうか。
とくにここから眺める富士山は最高に格好いいですねー。
今日はどうかというと、時間がお昼を過ぎていることもありお目当ての富士山は半分以上雲に隠れていました。
そのかわり、奥多摩や奥秩父の山々が指呼の間に望めます。
よーく目を凝らしたら御前山の山懐に奥多摩湖の湖面も確認できました。
峠から賽の河原を経て雷岩をつなぐ稜線歩きは本当に気持ちいいです。
お天気に誘われてか目の前を一頭の鹿が悠然と横切っていきました。
鹿を見たら、5月の富士山一周ツーリングの時に食べた鹿カレーを思い出して、なんか申し訳ないような気持になっちゃっいました。お仲間に悪いことしたなあ。ゴメンね。
そんなのんびりした稜線で昼食タイム。
ここはいつまでも留まっていたい空間です。
雄大な景色も雷岩まででおしまいです。
ここから最高点である大菩薩嶺を往復し、唐松尾根を下りました。
最初から急坂だとわかっているので慎重に歩を進めます。石混じりの道なので滑りやすいので気持を集中させて下りました。
やがて歩きやすい道になってくると周囲は尾根の名称どおりの唐松林に変わりました。
唐松の新緑も良いですね。
ふたたび鮮やかな緑のシャワーに囲まれるトレイルになり、下山するのがもったいない感じになってきました。
森の香りというかフィトンチッドを十二分に感じながらの山歩きは久しぶりです。
6月の山歩きって本当にいいですね。
【コースタイム】
上日川峠(11:09)~福ちゃん荘(11:25)~大菩薩峠(11:56~12:05)~雷岩(12:33)~大菩薩嶺(12:41)~雷岩(12:50)~福ちゃん荘(13:21)~上日川峠(13:36)
アプローチ編に続く
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Comments
アプローチ編に続くってことは今回もヒルクライムですね。ニヤニヤw
私も土曜日に八ヶ岳の阿弥陀に登ってたんですが、標高2400mを越えたあたりからは雲の中でまったく景色が見えず、残念無念でした。。
Posted by: HINA | 2014.06.15 08:45 PM
HINAさん
はい。
ご推察のとおりアプローチは自転車でした。
上日川峠はやばい急坂続きの峠みちでした。
後日アップの予定です。
ところで、阿弥陀岳日帰り山行ですか。
相変わらずタフですねー。
そういえば、南アルプスも富士山も頂上付近はガスで隠れてましたが、標高2,400m前後の奥秩父はくっきり見えていました。
急激な気温上昇があったので仕方ないですね。
Posted by: Nob | 2014.06.15 09:24 PM