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2008.02.25

吹雪にも負けず?

「こんな日に外へ出たら冬山が嫌いになっちゃいますよねー」

土合山の家の玄関先での二人の会話。
これは当会随一のボヤキストである私の漏らしたボヤキではありませんよ。
なんと!当会一の優等生であるHINAさんから発せられたボヤキなのです。
それほど昨日一昨日の二日間、谷川岳山麓で吹き荒れた風雪はやばかったのです。

R0010823s23,24日の二日間、私が所属している救助隊が主管団体となって、関東周辺の救助隊合同の訓練が谷川山麓で行われました。
当初は、西黒尾根や赤沢山山腹で行う予定だった訓練も、猛烈に発達した低気圧の通過がもたらした猛吹雪により大幅なスケジュール変更を余儀なくされてしまいました。

何しろ寒いのなんのって・・・
ま、極寒という気温ではないのですが、雪がまともに顔面にぶつかる中をゴーグルもなしで救助訓練をやるのですからたまりません。
「ゴーグルなし」は単に私が忘れただけなのですが・・・。
自業自得というか。

R0010821sこんな天候で山に向かう登山者がいるとすれば正真正銘の「無謀登山者」ですが、こんな悪天候に出動する救助隊もいないだろうから、「無謀訓練」なのかも知れません。(笑)

しかし、二日間を屋内で過ごす訳にはいきません。
場所を宿舎の周辺に移してなんとか実施したという訳です。
悪天候の中を要救助者に対してCPR(心肺蘇生法 CardioPulmonary Resuscitation)を実施しつつ、R0010828s搬出作業を行う困難性をいやというほど体感できました。
救出作業は本当に辛いです。

こういう訓練に参加してかならず感じることは、「けっして山で事故を起こしてはならない。」ということです。
「山で事故を起こさないためには何が必要か。」
この命題に対しては、いつも意識を集中して行動することこそが、単純な話ですが最高の遭難対策だと思っています。
事故を起こさないための技術の習得、経験の蓄積こそが安全登山の王道なんですよね。

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2008.02.13

植村直己冒険賞

昨日、2007年「植村直己冒険賞」の受賞発表がありました。
既報のとおり野口健クンが受賞しました。

このニュースを聞いて、なんとなく違和感を感じました。
どうしても植村直己と野口健とがダブって見えてこないのです。


この賞の歴代受賞者を調べてみたら・・

1996年、尾崎隆:ミャンマー最高峰カカボラジ初登頂
1997年、米子昭男:片腕のハンディを持ちながら、ヨットで大西洋・太平洋単独横断
1998年、関野吉晴:グレートジャーニー、5万km
1999年、大場満郎:史上初 北極海 単独横断、南極大陸 約4,000 kmの単独横断
2000年、神田道夫:熱気球でヒマラヤ・ナンガパルバット(8,125m)越えに成功
2001年、中山嘉太郎:西安~イスタンブール、走り旅、9,374 km、205日間
2002年、山野井泰史・妙子:ギャチュンカン峰(7952 m)の登頂
2003年、安東浩正:日本人初の厳冬期シベリア単独自転車横断、14,927 km、248日間
2004年、渡邉玉枝:女性世界最高齢(65歳)で8000m峰5座目となるローツェに登頂
2005年、永瀬忠志:リヤカーを引き、4万3千kmを踏破
2006年、小松由佳:日本人女性では初めてK2に登頂

過去の受賞者たちは、皆さん地味ながらユニークかつ創造的な活動をしています。
世間をあっと言わせながらも、なんて馬鹿げたことを!と思わずにはいられない憎めない一面も持ち合わせています。
そして、世間的な名誉やお金とはほとんど無縁の人たちばかりのような感じもします。
人にどう思われようがコツコツと自分のやりたいことを貫き通す。その結果が受賞につながったという感じです。

それに比べて、今回の野口クン。
「登山家」「アルピニスト」としてマスコミから常に脚光を浴びています。
政界や財界のお歴々とも仲良しみたいだし、キリンビールのCMでは八ヶ岳(天狗岳)で美味そうに発泡酒を飲んでる場面が連日放映されています。

受賞の理由に、「昨年5月のエベレスト登頂で、日本人8人目となる中国、ネパール両側からの登頂を成し遂げたことに加え、エベレストや富士山での清掃活動などが評価された。」
とありましたが、登山界にほんの少し明るい人なら、エベレストは登った回数ではなく、どのような登山スタイルで登ったかが問われること位先刻ご承知ですよね。
ある意味、広告塔に徹することで、世間の耳目を地球環境保全活動に向けるという「功績」は否定してはいけないのでしょうが・・

うーん。
でも、私には違和感をともなったニュースでした。
「受賞該当者なし」の年があってもいいのに・・


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植村直己冒険賞(植村直己冒険館のサイトより抜粋)

目的
本賞は、世界的な冒険家である故植村直己氏の精神を継承し、周到に用意された計画に基づき、不撓不屈の精神によって未知の世界を切り拓くとともに、人々に夢と希望そして勇気を与えてくれた創造的な行動(業績)について表彰することを目的とする。

賞の対象
極地、山岳、海洋、空等の自然を対象とし、日本または世界各地において、人間の可能性に挑んだ創造的な勇気ある行動(業績)を対象とする。

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2008.02.11

雪の丹沢 - 装備選びの難しさ

Tanzawa07南岸低気圧が通過すると、進路によっては関東の山地にも大雪が降ります。
とくに相模湾からせりあがっている丹沢山塊は低気圧の影響をもろに受けるので、低気圧通過の翌日は絶好の雪稜漫歩が楽しめます。

今回の低気圧は進路が北寄りだったせいか、期待したほどの積雪はありませんでした。
もっとも山登りでは「期待」される雪ですが、通勤や日常の生活を考えると一番の厄介者ですよね。(笑)

さて、2月10日の丹沢は前夜に降り積もった雪のおかげで、真っ白な銀世界に変身してくれました。
安上がりに雪山が楽しめるので、小屋番も当然のごとく丹沢に馳せ参じました。

登山口で他の登山者の出で立ちを観察すると・・・
ピッケルはざっと1/3ほどの登山者が携行していました。
ストックはほぼ全員が携行。
中にはワカンやスノーシューまで持参の登山者も。
アマニオイルをたっぷりと塗りこめて飴色に磨きこまれたワカンやウッドシャフトのピッケルを背負ったオジサンにはびっくり。
ギアのお手入れには感心しましたが、どう見ても普段は書斎か居間に飾ってある代物を持ってきたっていう感じです。(笑)
その一方で、ロングスパッツも着けずにスニーカーだけで出発する親子連れとか、こちらが見てもハラハラするような足回りのハイカーも混じっていました。

Tanzawa08低山の雪山ハイキングって装備選びが難しいですね。
かくいう私も、ふだん使っている革製のハイキングシューズでは防水性で心もとないので冬靴を持参しましたが、トレースがつけられていたので結果的にはふだんの軽登山靴でも歩けたと思います。

冬靴に12本爪のアイゼンをつけた姿は八ヶ岳では似合っても表丹沢では少々過剰装備でしたが、安心を手に入れておけば行動に余裕が生まれることも確かなので、それなりに納得のいく装備計画だったと思います。

ただ、過剰装備は行動に支障をきたすので感心しません。
体力で劣る中高年登山者は事前の装備計画を入念に練ることと、経験を深めることが必要になってくるようです。


くわしい山の記録はこちら

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2008.02.05

スノボの7人、無事でよかった。・・・だけど。

一昨日のニュースで知って以来、かなり心配していましたが無事でよかったですね。
年齢が30~40歳代ということ、廃屋ながら小屋の中で風を避けることができた点、携帯コンロで暖をとることができたこと等が大きいようです。
新聞などでは、いずれもスノボー歴10年以上の「ベテラン」とのことでした。

しかし! しかしですよ!

これが中高年登山者だったら?
「またも中高年の無謀登山」
「計画書も出さず、地図やコンパスも持たずに山頂をめざす」
「ベテランにふりかかった罠」
「『いつも登っているから・・』油断が生んだ驕り」
などという見出しが躍るんでしょうねぇ。たぶん。

ところが、今回の記事には不思議に批判めいた内容が書かれていません。
スノボーの事故ということで、メディアは山岳事故とは区別しているのでしょうか。

Osorakan_map25000そもそもリフトの最上部からわずかな距離の山頂とはいえオフピステに変わりはありません。
オフピステに踏み入る以上、それなりの装備と計画をもって入るのが「ベテラン」の責務でしょうが。

今回、携帯電話は持って行ったみたいですが、あいにく「圏外」でした。
携帯電話と変わらない大きさであるGPSを持っていれば今回の事故は防げたかも知れません。
いや、防げたでしょう。
そうすれば多くの人たちに心配や迷惑をかけずに済んだかもしれません。

GPSは万能ツールではありませんが、自力で帰還できる機能をもつ優れたツールです。
これは携帯電話にはない優位性であると思います。

おっと、話が横道に外れてしまいました。
とにかく、私は今回の事故は同情の余地なしとみましたが、皆さんはどう思われましたか?

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