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2007.04.21

春風に包まれて奥多摩へ

070421hinode025月連休は北アルプスに入山する予定なのですが、雪の状況が心配です。
記録的な暖冬の後に訪れた4月の低温と降雪がどのように影響しているのかを現地に行って確認したい。
そんな思いから、今日は後立山の唐松岳を訪れる予定でした。
ところが、日本海側に低気圧が進んでくる予報から悪天が予想されたために急きょ中止に。
そのかわり唐松岳のメンバーで奥多摩にハイキングに行ってきました。

070421hinode05大型連休を前にしているせいか、奥多摩のハイキング客はあまり多くはありませんでした。
さらに無人の川井駅に降り立った乗客は私たちの他には二人だけでした。

今日は晴れ間の見えるまずまずのお天気です。
なによりも時折吹きぬける風がさわやかで春本番を感じさせてくれます。

ルートは竜少年お得意のマイナーな踏み跡経由で賑わいのある人気の山頂に至り、下山もまたまたマイナーな尾根筋を下るというものです。
具体的には、大塚山境界尾根を経て大塚山、御岳山、日の出山と歩き、高峰から北尾根を御獄駅に下りました。

070421hinode06いずれも1,000m以下の低山ハイキングですが、ミツバツツジ、イチリンソウ、スミレ、それにカタクリの群落というオマケまでついた花尽くしのハイキングを堪能することができました。

先週のような雪山も良いですが、この時期のハイキングは自然の恵みに溢れていて本当に楽しいですね。
春風が頬に心地よいさわやかな季節の到来です。
070421hinode10
ハイキングの記録は、当会ホームページからご覧下さい。

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2007.04.15

陽春の阿弥陀岳南稜

070415amida01「4月になったら歩きのトレーニングに八ヶ岳の雪稜に行きませんか」
摩利支天沢での一周忌の際、錦少年から誘われたとき、二つ返事でOKし、二人で相談して決めたのが阿弥陀岳でした。

当初は、広河原沢大滝を登攀した後、3ルンゼ右俣を詰めて南稜P3に直接取り付く計画でした。
ところが前日の朝、八ヶ岳一帯に降雪があり、気温も高めだったので、当初計画は中止とし、阿弥陀岳南稜のみの計画に変更しました。
雪崩も怖いし、ラッセルもしんどそうだったので、計画変更は正解でした。

小淵沢にある道の駅を未明に出発し、舟山十字路には4時過ぎに着きました。
5時少し前。ヘッドランプを点けて出発です。
凍った急坂を慎重に登って、南稜上に出ます。
ここからは長い道のりをスリップに注意しながら徐々に高度を上げていきました。

070415amida02立場山の長い登りの途中でアイゼンを装着。
一面雪原となった青ナギからは阿弥陀岳南稜や広河原沢奥壁の全貌が視界いっぱいに飛び込んできました。

今シーズンは暖冬で積雪は期待していませんでしたが、3月、4月に意外と低温が続いたせいか積雪は思ったよりも豊富です。
加えて前日の降雪(4,5cm位)が程良い新雪の薄化粧を施してくれました。

P1、P2と問題なく通過。
核心のP3は定石どおり、ピーク左側にトラバースして、3ルンゼ右俣の源頭部を直上しました。
070415amida07ここは最近、フィックスロープが設置してあり、夏には一般ハイカーも通過できるほど変わってしまったそうです。
さすがにこの時期のルンゼ内は雪と氷の世界で、フィックスロープも一部は氷の中に埋もれていました。

最後のP4を慎重に越えて、さあ後は頂上を踏むだけ。と思ったら、最後の最後に5m程の垂壁(III-程度)に行く手を阻まれてしまいました。
ここは錦少年がフリーで乗り越えて、若葉マーカーNobのためにお助け紐をぶら下げてくれました。感謝!

垂壁を越えれば雪の斜面が頂上へ私たちを導いてくれます。
一歩一歩高度を上げて、11時47分、阿弥陀岳頂上へ。
ちょうど同時刻に北稜側からは若い二人組が頂上に到着していました。
広い頂上を4人で独占です。
070415amida13「日帰りで南稜ですか。すごいですね。」なんて、若者たちからお世辞を言われてなんとなく心地よい気分になるのだからオジサンたちも困ったものです。

帰路は御小屋尾根を下りました。
尾根の上部が氷化していたので1箇所念のためロープを使いましたが、後は急な斜面をぐんぐん下って行けました。
早朝5時前に出発して、午後3時にはスタート地点の舟山十字路に。
長い一日でしたが、静かな陽春の八ヶ岳を堪能できました。

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2007.04.06

権威勾配

山岳雑誌「岳人」の4月号の第2特集は「山岳遭難のヒューマンエラー」。
事例(ケーススタディ)を通して事故に潜むヒューマンエラーの分析をしています。
なかなか読み応えのある特集でした。
この記事で、ヒューマンエラー遭難に因むキーワードの一つに「権威勾配」というエラーファクターがあることを知りました。

これは、上司と部下のように権威に傾きのある関係を言うそうです。
たとえば航空機を操縦するキャプテンと副操縦士の場合、緊急時に権威を持つキャプテンの間違いを副操縦士が正すことができずに事故につながる、というケースが以前よくあったそうです。

これを読んですぐに思い浮かべたのは、今から8年前に起きた私の山仲間の遭難事故でした。
リーダーだった彼は豊富な経験と優れた技量をもつクライマーでした。
3人パーティーでした。他の二人は若く経験も技術も彼には及びませんでした。
リーダーの彼とメンバーの若い二人との間には明かな権威勾配の関係があったのだと思います。

数ピッチに及ぶ垂直の岩場を越えて、懸垂下降地点に差しかかった時でした。
普段なら必ず行うロープ末端の結束。
下降器を使って懸垂下降に移り、万が一制動が効かなくなってもロープの末端を結束していれば、それ以上は墜ちないためのバックアップです。

その日に限って、いつもは慎重な彼がロープの結束をしないで懸垂下降態勢に入ろうとしました。
その時、若いメンバーが注意しました。
「Jさん、ロープの末端を結ばなくてもいいんですか?」
彼は言ったそうです。
「今日はいいんだ。」と。
そして、それ以上その若いメンバーは注意できなかったそうです。

そして悲劇は起きました。
懸垂下降中にロープから下降器がすっぽ抜けてJさんはそのまま墜落してしまいました。

このように権威勾配は時に悲劇を生み出します。
が、適度の権威勾配がなければ、秩序や統率がなくなってしまい、パーティー個々がバラバラになってしまいます。
リーダーとメンバーの間には、お互いに意見を言いやすい関係を保ちながら、いったん方向性が決まればリーダーを中心に適度な上下関係を形づくっていくことが理想なのだと思います。

ところが、そういう人間関係づくりが難しくなっているだけに、煩わしさから逃れて気楽さを求める人たちが単独行に向かっているのかも知れません。
それでも、私はパーティー登山が好きです。
権威勾配・・・つねに念頭においておくべきファクターですね。

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