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2006.10.09

気象遭難

今回の白馬岳の遭難事故を聞いて、すぐに思い出したのが1989年の立山連峰大量遭難でした。
ひょっとして時期も同じだったかも?と調べてみたらやはり今回と同じく10月8日のことでした。

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1989年(平成元年)10月8日、室堂から立山・雄山を経て剱御前小屋に向かっていた中高年の10人のパーティーが吹雪と疲労のために行動不能となりました。
当日、寒冷前線が通過するのを知っていながら出発。

吹雪の中を不調者を連れたまま行動を続け、夕方になって比較的元気だった2名が救援を求めに先行、剱御前小屋にむかったが別山でビバークせざるをえなくなり、翌日救助されました。
そして残念ながら吹雪の稜線上にいた8名は持参装備も有効に活用できないまま全員凍死しました。
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あの事故は本当にショックでした。
まさしく「気象遭難」の典型例です。
山が秋から冬に衣替えする、端境期に起こった悲劇でした。

そして、今回、同じような事故が再発してしまいました。
89年の事故との違いは、リーダーが山岳ガイドだったことです。
サブとして、補助ガイドも付き添っていたので、2名のプロに5名の客という構成でした。

遠く九州から3連休を利用して紅葉の北アルプスを楽しもうとしたのに、悲劇的な結末になってしまいました。
報道では、稜線上に残された2人はツェルトもシュラフカバーも強風で飛ばされてしまう中で、ハイマツの窪地でビバークしていたそうです。

パーティーとして、ターニングポイント(引き返し地点)の見極めはどうだったのでしょうか。
60歳以上のメンバーを連れて、富山県側の長いコース選定に無理はなかったのでしょうか。

10月上旬の秋山では、万が一のためにピッケルやアイゼン、冬山防寒着の用意など一般的にはしません。
しかし、秋山での急激な天候変化は常識でもあります。一気に冬山に変貌することもよくあることです。

この時期に私たちができる気象遭難の予防策は、最新の気象情報の把握の上で、持参装備と気象情報を秤にかけて「ヤバイと思ったらいさぎよく引き返す勇気を持つ」ことでしょうか。

今後の再発防止の観点できちんとした検証が待たれます。
合掌

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Comments

Nobさん、ご無沙汰しています。岳です。
6日から五竜~白馬・・・を計画していただけに、今回の事故はショックでした。
私が、まだ岩屋だった頃、この時期は一ノ倉へ良く行きました。
大体、10/5前後は天候が不順、体育の日以降の凡そ10/15辺りは安定している(だから体育の日になったらしい)ので、紅葉&クライミングを楽しむことができました。
その経験も、すっかり忘却の彼方へすっ飛んでいました。

今回も、寒気の流入は分かっていたので、それなりの装備があれば、と思います。しかし、果たしてガイドを除くメンバーが使いこなせていたかどうか。
最近、観光気分で日本アルプスを登る人が多い気がしています。今回は、そうでない、と思いたいのですが。
合掌

Posted by: | 2006.10.10 12:56 AM

こんにちは。この遭難については、ドキュメント気象遭難という本に載っていたので読み返してみました。天気図がこのときと同じですね。太平洋沿岸低気圧が通って冬型配置に・・というパターンです。
でも、どうしてこういう天候のときに登るのかなぁ。悪天候のときに雨具を着た中高年登山者がゾロゾロと登っているのを見ると不思議になります。自分の残り時間が少ないので焦っているのだろうか。

Posted by: おじん堂 | 2006.10.10 08:02 AM

>1989年(平成元年)10月8日、室堂から立山・雄山を経て剱御前小屋に向かっていた中高年の10人のパーティーが吹雪と疲労のために行動不能となりました。
当日、寒冷前線が通過するのを知っていながら出発。
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私はこの日真砂沢のBCテントを早朝出発して剣・八ッ峰の稜線上にいました。
テント場を出発して下部稜線に出るまで曇ってはいましたが、10時頃には青空も見えました。
ところが10時を過ぎた頃から雪がチラつき始め、風は弱かったので静かに、でもあっという間に雪が積もって行きました。
さっきまで晴れていたのに・・というくらいの急変でした。
目指すルート上は雪壁となってしまい、私達は11時頃5・6峰のコルから撤退し、テント場に帰りました。
その日は夜まで雪が降り続き、翌日は朝から快晴、テントから顔を出すと一面白銀の世界でした。

山行の前日に同行メンバーと冬型の気圧配置になるだろう・・と予想して出掛けましたが、大町へ下って地元の新聞で大量遭難を知り、あの日10時頃には青空も出ていたので、あの青空にだまされたんだろう・・と話していました。

Posted by: hirorin | 2006.10.10 01:04 PM

岳さん >
ご無沙汰しています。
腰の手術は無事成功されたようで良かったですね。
愛車を駆っての南アルプス縦走の画像の数々、楽しませてもらいました。

> 最近、観光気分で日本アルプスを登る人が多い気がしています。今回は、そうでない、と思いたいのですが。

うーん。残念ながら岳さんの指摘している傾向はあるようですね。困ったものです。


おじんさん >
今回の遭難は防げたものだけに、あとあと訴訟問題等で第二の嵐の予感が・・・
3連休っていうのは本当に罪作りです。


ヒロリンさん >
そうでしたか。
17年前の同じ日に剱、それも八ツ峰下半部にいたのですか?
初めて知りました。
下山は大変だったでしょう。

今回の天候も、7日の朝は霧ながら小雨模様だったそうです。
そこで突っ込んだわけですが・・。
現地での判断は難しいですが、気象情報を把握していれば、との思いがどうしてもついて回りますね。

Posted by: Nob | 2006.10.10 09:32 PM

朝日新聞10/9のオンライン記事に、分析が出ていますね。
なるほど。気圧配置が同じだったんですね。高層はどうだったんでしょうか?
記事によれば、予想できない範囲ではないが、判断が難しいということのようですが。
10日の朝日夕刊の記事は、ガイドの談話が出ていて、心理が分かるような、分かりたくないような...
合掌

「なぜ海、山が荒れたのか プロも判断誤る秋の空」
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Posted by: | 2006.10.10 10:18 PM

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