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2006.09.18

残置

ロクスノの秋号に残置支点の撤去問題が座談会形式で掲載されていました。

残置の撤去に関する話題はこれまでにもたくさんありました。
その多くは、
「フリークライミングの水準が上がり、前進のための残置支点は不要になった。
にもかかわらず日本の岩場には多数の残置が残されており、そのことがクライミングのレベルアップや新しい試みの障害になっている。・・」
・・・というような視点からの残置撤去論であると理解していました。

ところが、今回の記事はそれらとはやや切り口が異なっています。
それは、「残置が抜けて事故になった事例」を冒頭の話題にしていることです。

ここ5,6年の間に発生した10件の事故が紹介されていました。アブミに乗り込んだ途端にボルトが抜ける事故もあったようです。
たしかに、現在アルパインルートに残されている残置支点は1970年代頃のものが多いのでしょうか。
30年も前の軟鉄ハーケンやリングボルトなら、その耐用年数はとっくに超えていると思います。

私の場合、正直に言うと、ランナウトして心細くなった時に、たとえ赤錆びていたとしても残置ハーケンが見つかったときは単純にうれしくなります。(え、こんな気持ちになるのは私だけ?)

「クライミングのレベルアップや新しい試みの障害になっている。だから残置は撤去すべし!」
との撤去論が大勢を占めつつあるのは承知してますが、そういう大義名分のもとで、もしも日本中の岩場から残置支点が撤去されたらどうしよう? と不安になってしまいます。
その意味で、私のような若葉マーク付きの初心者クライマーには正直のところ反発もありました。
進歩しないことだとはわかっていても残置支点は頼るべき大事な道しるべでもあるのですから・・。

しかし!
しかし、今回の記事で私の考え方も大きく変わりました。
「残置は危険なものなんだ」という考えに立てば、残置はできるだけ使わないで登ることに注力するしか方法がなくなります。
その結果、カムやナッツの取り方に習熟せざるを得なくなるし、ハーケンも自分で打って回収する習慣も身につけざるを得なくなります。

それらが確実に出来るようになるまでは、登るルートのグレードを下げよう。
そして、あこがれのルートを登るためには確実に出来るようになろう。
つまり、クライミング能力がアップすることにつながるんですよね。
当たり前の話ですが・・。(笑)

件の記事でも「自信がなければ打てばいい。ただし必ず回収しよう。」と呼びかけています。

先日出かけた旗立岩でもそうでしたが、腐った残置支点のクリーニングは絶対に必要ですね。
新しい支点を打とうとしても古い残置が邪魔して打てませんし。

残置は、そこにあれば人間の弱さでつい掛けてしまいますが、万が一墜落したときの確実性はまったく保証されていません。
それならば、自分で支点をセットして登った方がまだ諦めがつこうというものです。

やはりトレーニングによるレベルアップなんですよね。
どんな世界でも。

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Comments

クライミングではありませんが、登山道の木々に巻きつけてあるテープ類。ここが登山道ですよ・・・と、知らせてくれる赤や黄のビニルテープですが、あれをケシカランと言ってせっせと取り外している人もいます。登山者たるものルートファインディングは自分でするものだという理屈らしいが・・・

Posted by: おじん | 2006.09.19 05:45 PM

なるほど。
テープを撤去している人がいるって、私も聞いたことあります。
たしかに、地図読みの練習に選んだ山で木々にテープがやたらと付けられていることがあり、ガッカリしたことがあります。
でも、一般登山道がない山を単独で歩く時など、テープがあるとホッとするのも事実です。
テープのおかげで道迷いの遭難事故がかなり抑止されているのではないでしょうか?
テープは腐食した残置ハーケンと違って、それ自体が危険なことって少ないですしね。
もっとも、道だと思ってテープのあとを追っていったら山賊の隠れ家だったりして・・・。(^^;

Posted by: Nob | 2006.09.19 09:44 PM

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