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2006.05.12

北アルプス この百年

416660347709_ou09_pe0_scmzzzzzzz_会社の先輩から「これ、面白いから読んでみたら」とありがたく頂いたのが本書との出会いです。

北アルプスの何が「百年」なのかというと、2005年は北アルプス最初の営業小屋である白馬山荘が創業してからちょうど百年なのだとか。
ちなみに、日本山岳会も2005年で創立百年を迎えたことは、記念切手も発売されたし記憶に新しいところですね。

さて、本書は北アルプスにある山小屋のルーツを辿りながら、主に地元サイドの視点で登山史の一端を眺めたものとして興味深いものです。
近代アルピニズムの風が吹き抜けるずっと以前、江戸時代よりもずっと前から、北アルプスの山々をとりまく集落の人々の深い営みの歴史があったことがよく描かれています。

高山の奥にまで入り込んで、生きるために「密漁」「無断伐採」を繰り返してきた村人たち。
彼らは、地図を作った陸地測量部員たちや都会からきた登山者たちに対しては「山には登るが岳(たけ)へは登れねえ」と語り、真実を明かさなかったという。

ゆえに、近代登山の草創期に活躍した岳人たちは、自分たちの記録をあたかも初登頂の記録として残した。そんな「外から作られた登山史」が登山の「正史」となったようです。
なんとも皮肉なエピソードですが、案外そんなところだったのかも知れません。
何しろ剱岳の山頂に奈良時代末か平安朝初期の錫杖が見つかったくらいですから。

ちなみに著者は1964年長野県岳連によるギャチュンカン登山隊員で、信濃毎日新聞社に長く勤めているジャーナリストにして根っからの山男です。

北アルプス この百年

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