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2006.05.31

遭難と想像力

Mainichi5月27日の毎日新聞の朝刊紙面に「山の遭難を考える」と題して3人の識者による提言が掲載されていました。
岩崎元郎(登山インストラクタ)、山本正嘉(鹿屋体育大教授)、柳澤昭夫(大町山岳博物館長)の3氏です。
3人それぞれの専門分野からの切り口で中高年に多発している山岳遭難について、なかなか興味深い意見を寄せていました。

その中で、岩崎さんの主張 -危機管理は想像力で- は、なかなか印象深い内容でした。

…登山で絶対安全が保証される対策は「無い」ということを明快に認識していること。そして事故を想像する。その上で事態にどう対応するかをつねに考えること。
山は危険なのだということを想像して、最低限の備えとして山岳保険に加入してほしいと思うのだが、山岳保険加入者が存外少ない。
未加入者は山の危険を想像できない人ということで、即ち遭難予備軍と断定させていただくしかない。…

ここで言われている「想像力」ですが、たぶん私なりに考えると、「事態をイメージする力」だと思うのです。
ここで墜ちたらどうなるかをイメージする。
次の段階では、墜ちないようにするためのバックアップをイメージしてみる。
最後に、墜ちないで突破できた自分の姿をイメージする。

こういう作業をつねに念頭において山を歩くのは、まともに捉えればツライし重いことですが、長い間登山を続けている人たちにとっては、普段自然にやっていることなのではないでしょうか。
また、山岳会などで先輩から後輩にごく普通に受け継がれていったことだと思います。

冒頭紹介した大町山岳博物館長の柳澤氏は、「山岳会」という組織の再評価について述べています。
…いまの人は山岳会に入らない人が多い。仲間が怪我をしたり失ったりというつらさ。自分が痛い目にあったという経験。一人の経験は少なくても山岳会で複数の人が集まれば2倍、3倍になる。追体験で経験不足を補うことにつながる。…

そうした経験を重ねていくことでイメージ力が高まっていくのでしょうね。、

リスクマネジメントにおける想像力発揮の課題はとても大事なテーマだと改めて思いました。

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2006.05.30

通勤ウォーク

hime☆さんのブログを読んでいて、ちょっと驚きました。
朝の通勤に6kmも歩いているとか。
しかも1時間10分もかかったと嘆いておられる。ほぼ時速6kmで歩いているんだから大したものです。
うーん、ますます足が太く立派になるなあ。
あれ以上立派になって何かいいことあるのかな?

かく言う私も通勤はなるべく歩くようにしていますが、それでも自宅から駅までの0.8kmと下車駅から会社までの1.5km。それに15階にあるオフィスまでの階段昇りがせいぜいです。
あわせて30分くらいでしょうか。

今日はhime☆さんに触発されて通勤帰りは2駅とばして歩いてみました。
それでも合計歩行時間は45分。
通勤で片道1時間以上も歩き続けるhime☆さんの根性は見上げたものですね。

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2006.05.24

事実・推測・感情

3月の事故の関係で山岳雑誌からの取材を受けました。
複数の雑誌からの取材依頼があったので、合同で受けることにしました。
事故に居合わせた3人の日程調整が困難なことと、何よりも別々に取材を受けてまったく同じ事をお話しする自信もなかったからです。

今回の事故はきわめて偶発性の高いものでした。
私たちなりに事故の経緯を綴ったものを出してはみましたが、事故現場は目と鼻の先にあったとはいえ、事故者とは数メートル離れていたためにどうしても解明できない点があります。


ライターあるいは編集者と名乗る人たちの洞察力、問題点の整理能力はさすがでした。
「なぜ?」
「どうして?」
「あなた方がとったその行為の意味は?」・・・
さまざまな切り口と客観的な姿勢で疑問、質問をたたみかけてきます。

私たちの答えには事実、推測、そして感情という三つの異なる面がどうしても混在してしまいます。
そのあたりを冷静に区分けをして適切な答えを出す能力が試されたひとときでした。
この2時間で、私たち自身にとっても確かな記憶が甦ってきたし、事実にまた一歩近づくことができました。

今回の事故はアイスクライミングだけでなく、ごく稀にですが岩登りの場面でも遭遇する可能性を持っています。
雑誌に掲載される予定の記事が、同種の事故の再発を防止するうえで有益な内容になってくれることを願ってやみません。

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2006.05.21

初夏の丹沢

Tanzawa01_1「GPSの使い方を教えてください」 と珍しくhime☆さんからメールがきました。

GPSもいいけど、肝心の地図はちゃんと読めるようになったのかなあ?と内心心配する私。
最近山に出かけていないせいで厚みを増した下腹部をさすりながら、久しぶりにhime☆さんとハイキングに出かけることにしました。

Tanzawa02私自身、最近はGPSを持っての山行はしていません。
もっぱら地図とコンパスですませています。
GPSが威力を発揮するのはやはり雪山ですから。

彼女によると、GPSが示す緯度経度を地図上に落とすと数百メートルずれるとのこと。
それを聞いて「ははあ、これは測地系の違いだな。」と確認してみると、やはり図星でした。
地図は世界測地系、GPSはtokyo測地系に設定されていました。これでは400~500mずれるのは当たり前です。
さらにはGPSの表示設定を度分秒単位に設定していなかったために、マップポインターが使えないなど、いろいろありました。(^^;

Tanzawa03これで来週地図読みの講師をやるっていうんだから受講生のみなさんに心から同情します。
しかし、地図とコンパスの使い方は予想外によく身につけていました。これには少し安心。
これなら地図読み講習会は大丈夫でしょう。GPSの操作実習さえしなければ・・。


さて、初夏の丹沢は爽やかな風が吹き抜けていました。
ヤビツ峠から表尾根をたどって塔ノ岳へ。
Tanzawa04
このルートが初めてのhime☆さんに「今日は行かないけど鍋割山にかけての山稜も好きなんだ。」ってうっかりしゃべったら、「行こう!行こう!」ということに。

鍋割山稜はブナの新緑と山ツツジのピンクとが織りなすやわらかな光に彩られていました。
塔ノ岳周辺の喧噪から離れ、期待通りの静かな新緑の山歩きを楽しませてくれました。

Tanzawa05


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2006.05.13

フリークライミング

Freeclimbing_1 今日の日経新聞を読んでいたらフリークライミングの特集が出ていました。
フリークライミングといっても、岩場でのそれではなく室内におけるスポーツクライミング・ボルダリングブームの紹介記事です。

いまや、若い女性や小学生までが気軽に楽しめるスポーツとして人気急上昇とか。
競技人口も10年間で5倍に拡大したそうです。

記事では、ショップ内に室内壁を設置して20歳代の若者の集客に成功したモンベルの渋谷店が紹介されていました。

利用料金は1回20分程度で大人700円。シューズは無料。
料金が高いのか安いのか判断はつきかねますが、賑わっているということは皆さん値段に納得しているのでしょうね。

そういえば、街中を歩いていると「足裏マッサージ10分1000円」とか「お昼寝ルーム15分○○円」とかの広告が目につきます。

長々とクライミングジムにたむろするというのではなく、ちょっとした時間を利用して気軽に気分転換する様々な選択肢のひとつとして室内壁が捉えられているのかも知れませんね。

死と隣り合わせの悲愴感からは無縁のスポーツクライミング。
健康的でとってもいいと思います。

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2006.05.12

北アルプス この百年

416660347709_ou09_pe0_scmzzzzzzz_会社の先輩から「これ、面白いから読んでみたら」とありがたく頂いたのが本書との出会いです。

北アルプスの何が「百年」なのかというと、2005年は北アルプス最初の営業小屋である白馬山荘が創業してからちょうど百年なのだとか。
ちなみに、日本山岳会も2005年で創立百年を迎えたことは、記念切手も発売されたし記憶に新しいところですね。

さて、本書は北アルプスにある山小屋のルーツを辿りながら、主に地元サイドの視点で登山史の一端を眺めたものとして興味深いものです。
近代アルピニズムの風が吹き抜けるずっと以前、江戸時代よりもずっと前から、北アルプスの山々をとりまく集落の人々の深い営みの歴史があったことがよく描かれています。

高山の奥にまで入り込んで、生きるために「密漁」「無断伐採」を繰り返してきた村人たち。
彼らは、地図を作った陸地測量部員たちや都会からきた登山者たちに対しては「山には登るが岳(たけ)へは登れねえ」と語り、真実を明かさなかったという。

ゆえに、近代登山の草創期に活躍した岳人たちは、自分たちの記録をあたかも初登頂の記録として残した。そんな「外から作られた登山史」が登山の「正史」となったようです。
なんとも皮肉なエピソードですが、案外そんなところだったのかも知れません。
何しろ剱岳の山頂に奈良時代末か平安朝初期の錫杖が見つかったくらいですから。

ちなみに著者は1964年長野県岳連によるギャチュンカン登山隊員で、信濃毎日新聞社に長く勤めているジャーナリストにして根っからの山男です。

北アルプス この百年

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2006.05.04

ある日の昼下がり

Otera012年ぶりに目黒のお寺を訪れました。

大型連休の合間ということもありお墓参りに訪れる人も少なく、とても静かな境内でした。

このお寺に眠っているHさんとの対話のひととき。

ちょうどこの時間帯に仲間たちが白馬岳主稜を登攀中のはずです。

3月の事故の報告と登攀中の仲間の安全をお祈りして家路につきました。

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2006.05.03

薫風の山  甲東・不老山

Hurou01車を使って山梨、長野の山々を訪れるとき、きまって休憩に立ち寄る場所が中央道・談合坂サービスエリアです。
談合坂SAの駐車スペースから北側を望むとき、すぐ目の前に大きく盛り上がって見える山がいつも気になっていました。
ある時、2万5千図で調べてみたら「不老山」という山名が記されていました。
連休中ずっと家にいるのも体に毒なので、この機会に思い切って訪ねてみることにしました。


Hurou02上野原駅からバスで不老下へ。
美しい山間の集落の中を歩きながら徐々に高度を上げていきます。
やがて山道に入り、植林の中をゆるやかに登っていきます。
尾根に上がったところにある金比羅様で一休み。丹沢から富士山にかけての展望が広がります。特に富士山は豊かな残雪をつけていました。

Hurou03尾根に沿って歩きやすい道が続きます。
道端にはタチツボスミレの可憐な花がそこここに咲いていました。

鮮やかな新緑が目に眩しいほどです。吹き抜ける風も心地よく、文字どおり「薫風の山」といったところでしょうか。

登りついた頂上からは南面を中心に展望が開けていました。
眼下には談合坂SAが箱庭のように見えます。SAに入る渋滞の車の列が豆粒のように連なっているのが見えました。
Hurou04頂上から見る富士山も裾野まで伸びやかに広がりを見せてくれています。標高839mという低山には思えない好展望に恵まれました。
時間をゆっくり使いながら地図読みのお勉強も欠かせません。

さて、不老山頂で少し早い昼食をおえた後は、お隣の高指山(911m)を目指しました。
大型連休のせいか近郊の低山に向かう人は少なく、新緑のみずみずしさに感嘆の声をあげながら、ゆったりと歩を進めていくことができました。

Hurou05高指山からは高丸を経て桑久保の集落に下山するコースをとりました。
植林帯の濃緑と雑木の新緑が織りなすコントラストが印象的です。
下るにつれて、辿ってきた不老山から高指山にかけての稜線が高くなり、とても立派に見えます。

Hurou07下りついた桑久保集落は南面に大きく開けた美しい集落です。まさに「桃源郷」とはこの集落のことか。
遠くに東丹沢主脈の山々が午後の逆光に輝いていました。

命の洗濯をさせてもらった気持ちよいハイキングでした。
同行のFさん、お世話になりました。

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2006.05.01

姫川源流にて

Himekawa02姫川は日本海に注ぐ河川です。

その源である「姫川源流」一帯は、春の雪解けとともにフクジュソウ(福寿草)の花におおわれていました。

はじめてこの地を訪れましたが、その瑞々しさに素直に感動しました。

Himekawa03これだけの大群落を目にしたのは初めてです。

ミズバショウ(水芭蕉)やアズマイチゲ(東一華)も咲き始め、春がいっぱい溢れている白馬山麓でした。

Himekawa01


Himekawa04


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