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2004.12.07

「蒼穹の昴」のふるさとを行く

西太后の夏の離宮「頤和園」

伴野朗の小説を読みあさっていた時期があった。
中国古典に明るく(元朝日新聞北京支局長)、近・現代の中国を舞台にした小説やそれ以前の時代小説も含めてたくさんの著作がある。
伴野氏の歴史小説で中国史に興味をもち、浅田次郎のベストセラー小説「蒼穹の昴」で清朝末期の中国にはまってしまった。

清朝は中国最後の王朝であり、1840年のアヘン戦争を境としてそれまで大帝国と恐れられていた中国と、その後列強諸国に食い荒らされる弱い中国の両面をさらけだした王朝だ。
「蒼穹の昴」はその清朝末期、西欧列強に侵食される落日の清朝のきらめきと、他方、近代国家への革新をはかる新たな勢力の挑戦を描いたスケールの大きな歴史小説である。

歴史に名高い西太后や李鴻章、袁世凱といった歴史上に実在した人物がたくさん登場する反面、科挙登第(合格)の李文秀と宦官の道を歩きはじめた春児という二人の若い架空の人物が主人公。
科挙の仕組みや宦官の実態などが精密な描写で描かれており、それだけでも読む価値はあると思う。
前半は面白くてグイグイと物語に引き込まれる。後半は物語が時代的にもやや錯綜するのと、史実にしばられてしまい、やや硬い印象を受けるのが残念といえば残念だった。わずか百年前の出来事を扱っているので難しい面もあるのかもしれない。
もっとも私のような歴史好きには面白くてたまらない小説であったが。

天安門の夜景

おっと話が脱線してしまった。
じつは勤続30年の記念に会社から3日間の休暇がもらえたのでそれを利用して、小説の舞台となった紫禁城や頤和園(いわえん)を訪れる機会を得た。
いやはや聞きしにまさるとはこのこと。
紫禁城の建物数700以上で部屋数9000以上というスケールに驚いていたら、頤和園(西太后の別荘)の面積は紫禁城の4倍だとか。池を掘った土で、立派な山まで築き上げたのを見てさすがに驚く。西太后や光緒帝、大物宦官の李連英らが起居した数々の建物群に、清朝末期多くの人材が入り乱れ激しくせめぎあった頃の強い思いを少しは感じることができたと思う。

胡同の街並み

いま北京は4年後のオリンピック開催を目指して建築ラッシュに沸いている。胡同(フートン)に代表される古い街並みが徐々に消えつつある。
街並みは変貌を遂げつつあるが、まだまだ古い北京の雰囲気を味わうことができた。
そういう意味では実にいい時期に訪問することができたと思っている。


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Comments

えらいっ!何がえらいって、3日間の休日を貰えたのに登山に行かなかったというのがえらいっ!
もし登山に行っていたら、台風なみの吹雪で悲惨だったでしょう。これは日ごろの行いのおかげなのかな。

Posted by: おじん | 2004.12.07 03:26 PM

私もこの作品が大好きです。
この建物が舞台だったのですね!!

Posted by: KOROPPY | 2004.12.07 03:37 PM

いやー、北京というか中国という国にすっかりはまってしまいました。
ホントに面白い国ですねぇ、あそこは。

Posted by: Nob | 2004.12.07 05:06 PM

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