忘れられた山稜

餓鬼岳から東沢岳を経て燕岳にいたる稜線。
中沢岳(剣ズリ)からガスの切れ間の彼方に浮かぶ燕岳方面を眺めている時、どこかで同じような光景に出会ったような既視感(デジャビュ)におそわれた。
さて、どこだったろう?
帰ってからようやく思い出した。
熊ノ平から新蛇抜山を経て北荒川岳から塩見岳にいたる尾根筋だ。いわゆる仙塩尾根の一角を形成する濃密な山稜のそれを思わせる悠揚さがそこにはあった。
北アルプスにあって北アルプス的でない「忘れられた山稜」である。
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花崗岩の白い沢床を滑り落ちるように豊かな水しぶきが立つ。
傍らにはシラヒゲソウの可憐な白い花がそこかしこに咲いていて目を楽しませてくれる。
危険な箇所にはしっかりとした梯子や桟橋が架けられており訪れる登山者が安心して登れるような配慮が行き届いている。
餓鬼岳に至る白沢道は小屋の主人の心配りが光る素晴らしい登路となっていた。

目の覚めるような花崗岩の岩塔、岩峰の連なる剣ズリの通過。
剣ズリから東沢岳にいたる稜線のそこここにクラックやフェイスの発達した花崗岩の岩峰が聳えている。クライマーにはこたえられない魅力的なラインがたくさん引けそうだ。
登山道はそれらを巧みに迂回しながら南へ伸びていく。
ハイマツの緑と白い岩峰のコントラストがまぶしい。
奥北燕岳に登り着くと迎えてくれたのは可憐なコマクサの大群落。
もう夏の終わりだというのに広大な砂礫の斜面いっぱいに咲いていた。
夏の終わりに遅れてきた登山者である私たちを待っていてくれたみたいだ。
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今夏は体の故障、体調の不良に悩まされ続けた。6月から8月までほとんどの山行予定をキャンセル。友人たちからの数々の山行の誘いには心ならずも辞退を重ね続けた。
しかし、夏の終わりの最終週に素晴らしい山行ができたことを心から感謝している。
山行を企画してくれたリーダーのhime☆。快く同行してくれたucciさん。
本当にありがとう。



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