岩登りはグレードじゃない
7年ぶりに剱岳を訪れた。
真砂沢ヒュッテに泊まり、翌朝未明のうちに出発。長治郎谷を詰めて八ツ峰VI峰のCフェースを登った。
7年前はピッチ毎に順番待ちを強いられて長い滞岩時間の結果、テント場に着いたのは夜の8時。とっても疲れたのがいまでも強烈に記憶に残っている。
さて、今回は盆明けという時期が幸いして岩場も空いており、気持ちよく登ることができた。
Cフェースは岩登りの入門者ルートとして名高い。傾斜も緩くピッチ数も手頃で、残置の支点も豊富だ。もしもこのルートが廻り目平にあったら誰も注目しないに違いない。いまのフリークライマー達にとっては易しすぎて魅力がないからだ。
しかし、そんな易しいルートでも剱岳の山懐に抱かれているとなると話は違う。
大汗をかいて長治郎谷を登りつめ、登攀後も八ツ峰の不安定な頂稜をたどり5・6のコルに懸垂下降し、再度長治郎谷、剱沢を登り返してベースに戻る行程は、ただ岩を登るだけを目的にする人種には考えられない苦行を強いる。
でもVI峰のフェース群を前にして眺める日本離れした周囲の景観に触れたとき、その苦労の大半は報われるに違いない。
山って岩ってグレードじゃないんだなあと心底思えるのが剱岳の岩場なんだと改めて思う。

↑ VI峰Cフェースの頭にて
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